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死後冷凍保存40日のナカちゃんに思うこと

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 命あるものは

 やがて土に還る

 /武蔵丘陵森林公園:2002年晩秋


 
 
 
10月9日付け、ネットのスポーツ報知の記事で
 
 「死後40日依然凍ったままのナカちゃん…NewsX」
 
というタイトルを見つけた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20061009-OHT1T00099.htm
 
 
  
徳島県阿南市の那賀川で有名になったアザラシの「ナカちゃん」。
今年の8月に死んでいるのを発見されて以降、
今も冷凍保存状態で今後の処遇が決まらない状態のようなのだ。
 
その記事を読んでいると、

 「剥製」案は、体の一部が腐敗があるのでできない
 
 「レプリカ」案は、ナカちゃんの表面が毛で覆われているのと、
 体にけがの形跡があることから、型を取ることができないので難しい
 
 「骨格標本」案は、「学術的にはよいがかわいそう」
 「子供がショックを受けるので、外に展示できない」などの声があがっている
 
という状況なのだそうだ。
 
 
 
読んでいるうちに、
私の中にはなんともいえない「違和感」が湧き上がってきた。
 

何かがおかしい・・・。
 
 
 
私の自然や命や生き物に関する考えはこうだ。

 「命あるものは、やがて死んでいく」

 「肉体はやがて土に還る」
   土に還るということは、この星を、この宇宙を形成する一部となり、
   草や微生物の栄養となり、それを食べた動物達の、
   またいつか新しい命の体の一部となるかもしれないのだ

 「形ある存在ではなくなっても、心の中で思い出として生き続ける」
 
 
 
生あるものはやがて死を迎えるというその事実を、
どうしてそのまま事実として受け止め、
子ども達と一緒に悲しみ、一緒に「命」について考えようとしないのか。
 
なぜ他の動物は、そんな扱いを受けず、
ナカちゃんだけ特別扱いしようとするのか?
 
骨格標本でもいいじゃないか。
骨格すら残さず、荼毘(ダビ)に付してもいいじゃないか。
 
 
 
「骨のナカちゃんがかわいそう」?「子ども達がショックをうける」??
 
子ども達が「命には終わりがある」ことの事実を受け止める体験や、
そういう事実を突きつけられた時の
幼いながらも感じたり考えたりする自分の心のプロセス体験を
知らないまま大きくなる方がよっぽどかわいそうだ。
 
 
 
命があるものはすべて、やがてこの世からいなくなるのだ。
 
 
 
子どもの頃、祖父母のうちで過ごすわずかな夏の帰省の間に、
様々な「命」の体験をした。
 
夏休みに祖父母のところで遊んだ犬・ダンが、ある日「死んだ」と連絡があった。
死の重さはわからなかったが、翌年遊びに行ってもダンの姿はもうなかった。
 
ひいおばあさんにしてもそうだ。前の夏まではいたのに、次の年にはいなかった。
次の夏、祖父母の家でその「いない」という事実を実感したとき、
親から言葉だけで聞いていた「死」を、幼心なりに理解した。
 
飼っていたアゲハの幼虫がいつまでたってもサナギのままかえらないこともあった。
 
一冬越したカブトムシのサナギ、羽化を待ちきれず弟がサナギの皮をむいた。
中には象牙色のカブトムシの形をしたものが入っていたが、
それは、皮をむいたことで、とうとう黒く光るカブトムシにはならなかった。
 
木から落ちていたアオバズクの雛も、あんなに一生懸命いとこ達とかわいがったのに、
ある日の朝、動かなくなっていた・・・。
 
 
 
ホラーや殺人事件のようなむごすぎる情報からは、子ども達を守らねばならない。
しかし、「命」について幼いなりにも体験することが重要な内容もあるはずだ。
 
 
 
ニュース記事にはこんなことも書かれていた。
 
  「ナカちゃんはみんなにかわいがられてきた。
  できれば、みんなが喜ぶ方法を考えたい」と同関係者。
  (註:博物館関係者)
 
 
 
「みんな」って誰?
 
ナカちゃんは、人間のために生きたのではない。
自分自身のために生きたのだ。
 
ナカちゃんが何を望んでいるかを考えてあげた方がいいのではないか?
 
ナカちゃんには、そんな意思はないかもしれない。
 
しかし、「ナカちゃん」は自然の一部だ。

長い地球の歴史の中、多くの植物、生き物たち、人間達の命が土に還ることで、
新たな命をつないできて、私たちの「今」があるのだ。
 
元ある自然に、土に還してあげるのが「自然の摂理」ではないだろうか?
  

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